あらすじ
Story
とある村の持ち主のいない古い空き家。ここは誰もが寝泊まりし、出ていくことが可能な場所。ちょうど吉田(山岸健太)が去ろうとしているところに、村の役所から派遣された矢島(山科圭太)が、不法に滞在する5人に退去勧告を言い渡しにやってくる。
長期滞在しているマキ(石川瑠華)が「前にも何人も来たけど、結局追い出せてないから」と予言したように、矢島は、リーダー格の男・鈴山(菟田高城)のペースに巻き込まれ、立ち退きを説得できないどころか、サエコ(遠藤祐美)の提案でその家で一晩を明かす羽目になり…

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この映画は、友人が購入し、廃屋になりかけていた状態から修繕や改装を重ねていた一軒の古民家に出会ったことで生まれた映画です。この家に初めて入ったときの不思議な印象を、映像を通して伝えたいという気持ちから制作が始まり、旧来の日本家屋の中に現代人が住むとどうなるのか、どんなコミュニティを作るのか、「家族」とは何か、など色々な疑問を提示する作品になりました。観客にどう受け入れられるか全く想像できなかったですが、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で優秀作品賞を受賞し、とても嬉しかったです。コロナ禍を迎えて、他者との関係性や距離が制約され、新たな関係作りを模索している今だからこそ、観てほしい作品です。
監督藤田直哉
少ない台詞でキャラクターを掴むのが難しいなと思い、とにかくあの場所で起きることに反応できるよう心がけました。最初に脚本を読んだとき、矢島はあまり動じないイメージでしたが、共演者の皆さんの演技により、とても心を動かされたのが印象的です。試写で作品を観た際は、知っている物語のはずなのに、先が分からないスリルがありました。人と人が共に暮らすことで生じる根源的なテーマ、そしてあの奇妙な緊張感をぜひお楽しみいただきたいです。
矢島役山科圭太
私の演じたマキは「家」の外の世界で悩みや葛藤を抱えて自分を変えたくてこの「家」に来た人。「家」に来る前とは違う自分を作り出すこと、そして違う自分でいることを心がけました。マキとしては挑戦をしているような感覚でした。
また家の中で作られたモヤっとした人間関係をできるだけ感じながら、「家」にいました。
この映画は色々な捉え方ができる映画だと思います。誰のものでもない、誰にも決まりがないようである「家」で暮らす人達。それって本当に自由なのかな。人の物語でもあり、「家」の物語でもあると思いました。
マキ役石川瑠華
本読みリハーサル中、藤田監督に沢山質問をしました。
鈴山と登場人物達との距離感がなかなか掴めなかったからです。
すると監督から「菟田さんはそれが分からない人だからキャスティングしました」という様なことを言われて、気が楽になったのを覚えています。
素の自分より他者との距離感をかなり意識して演じたつもりだけれど、試写を観て思わず苦笑しました。
また藤田監督は人が暮らしている「家」を撮りたいのだなと思っていたけれど、完成した作品からは、家に住む色んな『人』を強く感じて驚きました。
世界的にstay homeを求められ、
色々な家で、
様々な人が、
其々のstayの日々を送っている今だからこそ、
この映画を観てもらえたらいいな、と思います。
斯く言う俺も「stay」を模索中です。
鈴山役菟田高城
新しい場所で新しく人と知り合っていくのは刺激や緊張感があって、思いがけず新たな自分を発見する楽しさもあります。そのうちその場所が心安く居心地よくなると同時に、慣れ、に対するかすかな苛立ちを覚えたりも、します。
人がわざわざ意識せずに過ごしていく、人間関係が微妙に変化していく時間を捉えようとしている映画だと思います。
撮影では、家が持つ独特な空気をできるだけ吸って、周りとの距離感を自然に意識できるよう心掛けました。ぜひ、劇場でご覧ください。
サエコ役遠藤祐美
私は生まれも育ちも東京です。昔から縁側や、土間や、囲炉裏といった家族団欒で暖かいイメージのある昔ながらの家に憧れがありました。民宿を開業するにあたり秩父で家を探していたところ初見で気に入った古民家をすぐに購入しました。
『stay』を見て一番にそんな古民家の暖かさを感じました。他人同士なのにどことなく家族のようにも見えたのは、古民家の暖かさからくるものなのかもしれません。
また、古民家に住んで気づいたことが、家の中に差し込む光が優しくて暖かいということです。そんな、細かい古民家の描写も描かれています。
古民家のオーナー鈴木宏卓